第5章 守りたいもの 錆兎
これは、厄介だ…
5本の指先からバラバラのタイミングで出る針。
アレを弾きながら前に出るのは、正直キツい…
避けながら行けなくもないけれど、針に集中すると、多分横から爪が来る。
やっぱり、申し訳ないけれど、ここは村田さんに針をお願いするしか…
日輪刀を構えながら頭をフル回転させる。
「月城!大丈夫かー⁈」
「こっちは大丈夫!」
その時!
『他人の心配なんかしてる場合かい?』
ービュッ!
「ぐあっ!」
「村田さん!」
私に向けられた指先が突如村田さんへ向かい、針が放たれた。
村田さんは咄嗟に正面で日輪刀を構えて身体は免れたけれど、両手足に針が刺さってしまった。
「ごめん、月城…」
「村田さんっ…」
倒れた村田さん。
私の目に涙が溜まる。
庇えなくてごめんね村田さん。
どうか安らかに…
「おい!まだ死んでないから!
勝手に殺すなってー!」