第5章 守りたいもの 錆兎
私の捻挫が治って暫くした頃、今日は真菰とこの間行った甘味屋さんに来ていた。
まだ指令は来ていないし、お昼までにはまだまだ時間があるし、甘いものでも食べようと言う話になったのだ。
お店の外の長椅子に二人で並んで座り、真菰はわらび餅、私は白玉あんみつをそれぞれ頼んだ。
「紗夜のちょっと味見したいな」
「うん、いいよ。じゃあ真菰のわらび餅一つちょうだい?」
「はーい、どうぞ」
誰かと一緒に来ると味見ができていいな、と思った。
パクパクとあんみつを頬張っていると、バサバサと私達の元へ一羽の鎹鴉が飛んで来る。
「紗夜!任務ヨ!ココカラ北ニ向カッテ!山ノ中ニ鬼ガ出タワ!急イデ!」
「分かった!真菰、行ってくるね!」
「うん、頑張って!紗夜の分の白玉あんみつは勿体無いから食べておくね!」
「……………よろしく!」
あぁ、私のあんみつ…!
名残惜しいけれど、残ったあんみつを真菰に託し、私は鬼がいるらしい北の山へと向かうのだった。
「なずな!もう少し詳しい情報はある?もう鬼が出たって事は何人かそこへ向かっているの?」
走りながら、なずなに状況確認をする。
「既ニ数名ノ隊士ガ戦闘中!苦戦シテイルソウヨ!柱ハ近クニイナクテ直グニ向カエナイカラ階級ノ上ノ隊士ガ呼バレテイルノ!」
「分かった!」
そんなに強い鬼なのか…或いは…、階級が下の隊士が行ってるから苦戦しているのか…
どちらにしても、良い状況じゃないのは確かだ。
急がないと!
私はさっきよりも更に速度を上げて、全力で走った。