第1章 貴方は誰?
「で、さくら、と言ったか?」
コクリとその言葉に頷けば、目の前の彼は私を探るように視線をよこす。
「さっき、白ひげを知らないといったねぃ。
この島は鎖国でもしてるのかい?」
『鎖国…100年以上前はしていたらしいですけど、、、今は普通に開けた国です』
この人、日本語喋ってるのに日本人じゃないのかな
「…ここはなんていう島だ。
海域的にはどのあたりに位置している。」
相変わらず鋭い目つきのままそう聞かれる。
『ここは日本っていう国です。
海域は…太平洋の西の方に位置しています。』
そう言うと、キョトンとした顔でこちらを見やる彼。
…本気で言っているのかな、、、日本を知らない人なんてそうそういない。
「お前、グランドラインやワンピースという言葉に聞き覚えは?」
『グランド?なんとかは知りませんけど、ワンピースはそこにありますよ。』
私はハンガーに吊している水色のワンピースを指さして言う
「あー…そうかい。」
目の前の人はガシガシと頭を搔き、腕を組んで空を仰いだ。
『あの、さっきからあなたばかり質問されてますけど、私からもいくつかいいですか。』
私にも色々なものに限界が来て、我慢できずにそう言った。
男の人は視線をこちらに向けてなんだ、と先を促した。
『貴方こそどちら様ですか。
どうして私の家に勝手に入っていたのですか。』
若干切れ気味にそう言うと、目の前の人は再び後頭部を掻きむしりながら私の目を見て言った。
「俺はマルコ。
何故ここにいたかは正直俺自身もうまく説明できる気がしないが、、、俺の知っている限りのことは話しても言いよい。」
そう言ってマルコさんはにわかには信じられないことを口にした。