第2章 新生活
『やっぱり土曜だと多いですね…』
「…町が室内にあるみたいだよい。」
マルコさんはそう言って周りをキョロキョロと眺める。
町が室内に、か、、、なかなか言い表現かも知れない。
そんなことを考えながら紳士服売り場まで歩く。
家族連れやカップル、高校生たちのグループと、様々な年齢層が道行く中、私たちは一体どのように見えているのだろうか。
と、
「さくら、」
『ぇ…』
名前を呼ばれたかと思えば店と店の間の凹みに押しやられ、黙っていろといわんばかりの目を向けられる。
まるで誰かから隠れているような体制で、とりあえずじっとしていた。
「…行ったよい。
海軍ちゃんと居るじゃねぇか。」
女だが、と付け加えられてじとりと睨まれる。
海軍?と首を捻れば、マルコさんはあそこに居る、といって指さした。
そちらを覗き込むと、そこには青いリボンのセーラー服姿の女子高生。
『あれは海軍じゃないですよ。』
「だが、格好がそっくりだよい。」
未だ警戒するように彼女たちをしげしげと眺めるマルコさん。
『高校生といって、あの制服を着てる人は高校に通う生徒なんです。』
「コウコウ?」
『うーん…16〜18歳の子供たちの学校、ですね。
あ、学校っていうのは読み書きや計算、社会についてとか、学ぶ場所です。』
「へぇ…女だけなのかい?」
『いえ、男子も通いますよ。
ただ制服は男女別で、、、あ、ほら、あそこに固まってる黒い服を着た人たちがそうです。
男子はあの制服が普通ですね。』
ゲームセンターの前ではしゃいでる男子高校生の集団を指してそう説明する。
「…それなら、さくらもコウコウ行ったのか?」
『はい。だからウチに帰ればその時の制服もありますよ。
あ、私の高校はブレザーだからあの子たちのとは少し違いますけど。』
「全員同じなんじゃねぇのかい?」
『学校によって少しずつ違うんです。
制服を着ることによってその子がどの高校に通っているのか一目で分かるんですよ。』
「…面白いもんだねぃ。」