第2章 新生活
『とにかく、直ぐに帰れる状況でもないことは確かですね。』
「あぁ、残念なことにな。」
『…こっちに来たとき、何か持っていたものとかないですか?
手がかりになるかも、、、』
「持っていたもの、か、、、確か、、」
そう言ってポケットの中をゴソゴソと漁るマルコさん。
少し話して大分この人のことが分かってきた。
困っているのは本当の様だし、昨日の件はともかく、そんなに危ない人ではなさそうだ。
持ち物に何か手がかりでも書いてあったら良いのだが、、
「戦利品のリストとペンと、、あぁナイフに、あとは、、、これだよい。」
『!?』
ゴトリ、
前言撤回。
この人やっぱり危ない人だ。
鈍く重たい音を立てながらテーブルに置かれたそれは、ドラマなどに出てくるようなそれで、見たことはないが、妙に本物らしい雰囲気を醸し出している。
『え、えぇっと、、、それって、、』
「?見てのとおり銃だが?」
『…本物?』
「当たり前だろい。
偽物持ち歩いてどうすんだ。」
さも当たり前のように本物だといい、ためらいなく机の上でくるくると弄ぶ。
そんな人間は日本には普通居ない。
別世界から来たというのはともかく、日本人ではないなこの人。
1億万歩譲って仮に日本人だったとして、まるで林檎を持つ様に銃を扱う彼ははっきり言って異常だ。
『…マルコさん。』
「なんだよい。」
『それ、なにがあっても外で持ちあるいちゃだめですからね。』
「…別に構わねぇが、、何故だ?」
銃ぐらい大したモノでもないだろうと言ってのけるマルコさん。
私は真剣にそれを持っているだけで罪になるのだということを説明した。
マルコさんはこの国の一般人が誰一人として銃や剣などを所持していないと聞くと本気で驚いていたが、とにかくそれは絶対に家から持ち出さないことを約束させた。
「ここは随分と平和な世界なんだねぃ。」
『確かに、護身用に武器を持ち歩く必要はない位には平和ですね。』
なんか、一気に疲れた。