第2章 1-1.最強の目覚まし時計
…一方、その頃光一の家では…
光一は布団の上でぱっと目を開けた。
すると、部屋の外から階段を駆け上がる音と共に現れたのは…
すみれ「おはよう!光一」
部屋の入り口で勇ましい仁王立ちを決める、光一の幼馴染みのすみれだった。
すみれ「なんだ、起きてるじゃん。早く学校いこうよ。もう七時だよ?」
光一「はぁ!?ま、だ、朝の七時だ!っていうか、すみれ。勝手に人の部屋に入るなよ」
朝から二人は仲が良さそうだ。
そんなやり取りをしていると、
久美「光一、そろそろ下りていらっしゃい」
という声が聞こえた。
光一の母、久美の声だ。
久美「すみれちゃんも、もしよかったら、朝ごはん食べていく?光一の分と一緒に準備するわよ」
すみれ「わーい、ありがとうございます!」
すみれは歓声をあげて飛びあがった。
光一「朝ごはん、家で食べてきたんじゃないのか?」
すみれ「そりゃあ食べたけど、早朝からランニングして練習してたら、すっかりお腹減っちゃった」
光一「それって食べす」
ぎ。
そう言おうとした光一はすみれに睨まれ、気づいたらしっかりとパジャマの襟元をつかまれていた。
ヤバい。
そう思った時には遅く、光一の体は宙に浮いていた。
すみれ「必殺、一本背負い!」
光一「だから、<世界一の柔道少女>がぼんぼん投げ技なんか使うなって!」
毎日毎日、投げ飛ばされる方の身にもなれ!
ボスッ!
光一の身体は布団へと叩きつけられる。
すみれ「一本!」
朝から元気な声が徳川家に響きわたった。