第9章 雨のひと時
────
────────
─────────────
外は生憎の雨
執務室へ湿気った空気が入ってこないように縁側の障子を閉める
「あー、全然頭が働かない…!」
手元にあるまっさらな報告書、さっきから睨めっこをしているが進む気配はない
審神者とはいえ霊力はまだ低い為、霊力を向上させる解決策を模索している最中だ
今の自分の霊力では、顕現が出来る回数にも限りがあるし、やっと出陣許可を貰ったというのに、出陣や遠征先へ刀剣を3振送るのがやっとだ
このままでは審神者として失格だ…
「うーん…。」
見て分かるような大きな進歩は無く、政府への進捗報告をどうしたものかと頭を悩ませる
ふと顔を上げると、執務室の本棚を整理してくれている堀川が目に入る
今朝から久しぶりに近侍となり、せっせと執務室を片付けてくれている
自ら進んで手伝いをしてくれて気も利くからか、堀川がいてくれると、なんというか、痒いところに手が届くような…そんな感じがする
堀川はできる子だな〜!有り難い…!
「───そんなに見られると、恥ずかしいです。」
堀川はそう言うと、抱えていた書物を棚へ並べ終え、くるりと向きを変えて私の方へ向かってくる
「えっ、あれ、私そんなに見てたかな…あはは…」
どうやら私は堀川をずっと見ていたらしい
全く自覚が無かったため、思わず慌てて誤魔化す