第8章 騒がしい夜更け
「 …分かった、いいよ。」
暫しの沈黙の後、口を開いたのは主だった
「ただ、病み上がりの長谷部の邪魔にはならないように、ここにいるから──」
そう言うと押し入れから布団を1組引っ張り出してくる
すると突然、廊下からパタパタとこちらへ向かう足音が響き、まもなく襖が開かれた
「長谷部さーん!生きてますかーっ!?」
生存確認しに来ました、とキリッとした顔で鯰尾がそこに立っていた
今宵は誰にも邪魔されずに主を独り占め出来ると浮き足立っていたが、…とんだ邪魔が入ってしまった
────鯰尾、貴様、空気を読め……!
望みをかけて全力で念を送るが、布団を引っ張る主に気付いた鯰尾はずかずかと遠慮なく部屋に入ってくる