第7章 突然バスタイム
手前で掛け湯を済ませて湯気の中を進むと、大きな湯船に浸かっている4振の頭が見えた
入浴剤が入っているのか、白く濁ったお湯からは、柑橘系の良い香りがする
「お邪魔しまーす!」
ザブンと湯船に入ると、今剣が近寄ってきた
「あるじさま、これであそびましょう!」
今剣の手元を見ると、水に浮かぶ黄色いアヒルのおもちゃをいくつも持っていた
「うん!遊ぼう!アヒルを並べて浮かばせて──」
いつかはこの本丸にも、粟田口をはじめ短刀達が来るかもしれない
気が早いかもしれないけど、その時の為に、審神者としてここに来てから遊べるグッズを集めていた
湯船のお湯で波を立てると並んだアヒル達が押し合って1列になり、ぎこちなく進んでいく
「あははっ、この感じ、さっきの俺たちみたいですね!」
鯰尾がアヒルに向かって波を立てながら、先程の自分達を思い重ねて笑う
その隣では、骨喰がタオルで何かしようとしている
湯船にタオルを浮かべて中に空気を入れると、素早く周りを絞って空気を閉じこめる
「クラゲ。」
湯船にはクラゲの頭のように丸くなったタオルが浮かんでいて、私達はそれに釘付けになった
「見てて…」
そう言うと骨喰は浮かんだタオルを勢いよく沈める、すると沈めたタオルから細かな泡がシュワシュワと沢山出てきた
「わぁ〜〜〜」
今剣は目をキラキラさせている
そんな今剣を見た骨喰は手招きをすると今剣にタオルを渡し、作り方を教え始めた
「骨喰、一期といると弟って感じがするけど、こうして見るとしっかりお兄ちゃんしてるね。」
「そうですね…。でも弟達が来たら、俺だって、兄貴ってところ見せちゃいますからね!」
少し張り合うように主張してくる鯰尾
そういうところ、可愛いなあもう
読めないところもあるけど、今でも兄弟の事をちゃんと見ていてお兄ちゃんしてるし、案外世話焼くのが好きなのかな?と思う所もある
まあ今その事を言うと、きっと鯰尾は調子に乗るから言わないけど…!