第6章 ようこそ
「──主の声がする!」
廊下を足早に歩いてくる足音の犯人は一直線に清光の部屋の前までやってきた
「あーあ、来ちゃった。」
やれやれと嫌そうな表情の清光だが
諦めたように廊下にいる人物に声を掛ける
「主はここにいるよ、長谷部。」
その瞬間、スパンと勢いよく障子が開く
「主っ!やっと見つけました!!」
いつものジャージ姿の長谷部がそこに立っていた
暫く主探しをしていたのだろう
大きく肩で息をしている
障子が開いた事で外がもう暗くなってきているのに気が付いた
「本日の内番の畑当番、この長谷部、全力でやり遂げました!」
今日はどうやら畑を大きくする為
土地を開拓して畝を増やしたらしい───
「さすが長谷部!この先この本丸にも刀剣が増えていくと思うから、畑を広げて充実させていかないとね!」
ありがとう、と感謝を伝えると
長谷部は頬を染めて嬉しそうに反応する
「主の為なら何でも!この身を粉にして、尽力いたします!」
ビシッと敬礼をしている長谷部の頬には泥がついており、よく見ると服のあちこちにも泥で汚れた跡がある
「はいはい長谷部ありがとう!でも顔に泥が付いてちゃあね。さあ!お風呂に入って綺麗にしてきてねー。」
このままだと清光の部屋が泥まみれになりかねないので、長谷部の背中を押しながら清光の部屋を後にする
「長谷部のあの勢いには、負けたよ…。」
主と長谷部の背中を見送りながら、呆れたように清光は呟いた