第6章 ようこそ
されるがままになり清光を見上げていると
不意に顔が近付いてきて
そのままそっとキスを落とされる
「───んっ!?」
反射的に目を瞑ってしまった
恐る恐る目を開くと
目の前には優しく微笑む清光の顔があった
「主の唇いただき!」
「えっ、いま私、キス…された?」
突然の出来事に私の脳内は完全にキャパオーバーしている
「私のファーストキス…」
「えええ!主、キス…初めてだった!?」
私が小声で呟いた一言に清光があたふたと反応する
「うん。初めてだった…」
素直に答えるもこの状況で清光を直視できない
清光はそんな私と目線を合わせるように屈むと、心配そうに顔を覗き込む
「主がキスした事無いって思ってなくて、ごめん、その、突然だったし…嫌じゃなかった…?」
清光の顔がすごく不安そうで悲しそうで──
その姿を見た瞬間ふわふわと浮ついていた気持ちからハッと我に返る
「凄くびっくりしたけど…嫌じゃないよ!こういうこと全然免疫なくて」
場の空気を紛らわすようにははっと笑って答える
すると清光の表情に笑顔が戻り
再び引き寄せられて抱き締められる
「あー、よかった。…主、大好き。」
「私も清光のこと好きだからね…というか、清光何もしないって言ってたのに!」
「あははごめん、照れてる主が可愛くてつい、ね♡」
ね♡じゃないんだよ
こちとら心臓がもたないんだよ……!!
「嬉しい。主の初めて、もらっちゃった。」
「ん? その言い方はなんか語弊あるよ?」
「なんてね。でも、本当に俺がもらっちゃうかもよ?」
「あーやばい、清光が危ない発言してます誰か〜〜」
茶番を繰り広げていると
廊下からこちらへ向かってくる足音が聞こえた