第4章 初期刀
「少しばかり医術の心得があるからな。傷の手当くらい簡単な事だ。」
倒れた私を助けて、傷の手当てをしてくれていたんだ
あの時気を失ったまま出血し続けていたら
どうなっていたんだろう…
今度こそ本当に命を落としていたかもしれない
薬研には感謝してもしきれない
「助けてくれたのは薬研だったんだね…。ありがとう。本当に、ありがとう…。───ううっ」
あー、少しホッとしたら
緊張していた気持ちが緩んで
涙が溢れてきた
うっ…うっ……
涙も、鼻水も、嗚咽も止まらない
「1人で怖かったな、大将。もう大丈夫だ。」
その言葉に更に涙が溢れてくる
本当に良かった────
すごく怖かった
痛かった
一人ぼっちで不安だった
けど、ここまできて、今やっと
心を落ち着かせることができそうだ
嗚咽を漏らして泣き止まない私の背中を
薬研はそっと摩ってくれた
─────────
後で分かった事だけど、
私が屋敷で聞いた大きな物音は
新しい主を一目見ようと駆け付けた鶴丸が
勢い余って転けた音だったらしい…
鶴丸は驚きが好きかもしれないけど!!
こんな驚きは絶対いらない!!
先代の審神者に既に顕現されていた刀剣達も
私が到着した時に屋敷にいたなら、
もっとこう、お出迎え的な…ね?
私そんなに怪しい者じゃないし…!
その後、鶴丸が長谷部に詰められたのは言うまでもない…