第4章 初期刀
「辺りを見る限り、あそこしかなさそうだよね〜…」
私は重いキャリーケースを引き摺って、その屋敷へと向かう
鍵は渡されていたので、恐る恐る中へ足を踏み入れる
途中、庭が広く、砂利道だったため、大きな荷物は諦めて門の所へ置いてきた
「こ、こんにちはー…、お邪魔しますぅ…。」
叔母さんが亡くなって、家に誰もいないのは分かっている
政府から宛てがわれた土地と屋敷だそうだが、増築を重ねており結構な広さがある
先程まで、こんなに広いお家に住めるならちょっとラッキーかも…と頭の片隅で呟く余裕はあったが
次は自分が審神者として、この家の主になると意識すると、どうも余所余所しくなる
「静かだなぁ。」
って、誰もいないから当たり前か〜…
自分に突っ込みながら、屋敷内にさらに足を踏み入れる
玄関、廊下、家具に至るまで、埃ひとつ無く
掃除が行き届いている───
叔母さんが亡くなってからそんなに経ってはいないが、こんなに綺麗なまま残るものなのだろうか…
こんな辺境の田舎の屋敷に誰かが頻繁に掃除しに来るとは考えにくい
うーん…。
シンと静まり返った室内に、私の唸り越えだけが響く
ただ、静かなのに、何かを感じる
視線? 気配?
それが何なのかは自分でも分からない
神経を研ぎ澄ませて、周囲を確認しようとしたその時、
─────ガタンッ!!!
「!!?」
突然、襖の向こうから大きな音がした
「え!?なになに!?なんか居る!?」
待って、誰もいないはずだよね?
これは?霊的な何か?やばいよね…?
瞬時にそう判断した私はすぐに部屋から飛び出し、音がした方とは逆方向に全力で走り出した