第4章 初期刀
薬研side
暫く遠征で会えていなかったこともあって、ちと勢い余っちまったか…。まあ、後悔はしていない。
それにしてもあの狐、とことんタイミングが悪いな。
「あと少しで────」
いや、忘れよう
こればかりは仕方ない
皆の大将だからな… 皆の…
蔵からの帰り道、粟田口の部屋に近い縁側で立ち止まる
「大将の初期刀、か。」
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俺達の出会いは二月ほど前──────
俺は心春の叔母が審神者を務めていた時にこの本丸へ来た。
しかし顕現されずに、刀身のまま保管されていた。
その先代の審神者は不治の病を患っていて、霊力も弱まり、一振を顕現する事すら難しい状況だったという。
審神者が病弱であるなんて事が知れ渡ったら、時間遡行軍の奴らがどう動いてくるかわからねぇ。表向きは病の事は伏せていた。
だから大将は、
先代が急死したと知らせを受けたんだ───
その時、この本丸には
加州清光
鶴丸国永
燭台切光忠
へし切長谷部
髭切
膝丸
この6振が顕現されていた────