第4章 初期刀
これだけ密着してたら、早鐘を打つ心臓の音が薬研に聞こえてしまっているのではと気が気でない
気付かれないように小さく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる
「私はちゃんと薬研のこと、見てるから…。」
それに応えるように
抱き締める手に力が込められた
そしてお互いに顔を上げると、再び視線が絡まる
「心春。」
薬研が名を呼んだその瞬間────
────ボンッ
「主さま〜!ここにいらしたんですね!」
音と煙と共にこんのすけが現れた
咄嗟に薬研と私は離れて、こんのすけを見やる
「!! これはこれは薬研様もご一緒でしたか!」
(あれ?薬研様からの視線が…刺さるような痛いような…)
「それで、こんのすけ、私を探してたの?」
「あっ、コホン。そうです。山姥切様のお部屋を何処にするかご相談していなかったもので、確認に参りました。」
「そういえば…、決めてなかったかも。」
「じゃあ、俺は本丸へ戻るぞ。兄弟達に山姥切のこと、伝えてくる。」
「薬研、ありがとう!お願いね!」
去る薬研に手を振ると、必要な山姥切の生活用品を持って、こんのすけと私も間もなく蔵を後にした