第2章 本丸
今思えば、あの時になぜそう答えたか
その真意は自分でも分からない
私は昔から頼まれたら断れないし
人に向かって強くものを言えない性格だけど、
だからと言って相手の言い様に流されて
答えたのではない
これだけはハッキリと言える
知らない事
知らない世界
新しい何かに挑戦するのには
誰だって戸惑うし勇気がいる
その一歩が、一言が
何故かその時に、自然と踏み出し、紡ぎ出せたのだ
「───分かりました。」
そう答えた後、急に強い風が吹いた
正面から吹き抜けるように、髪を揺らした、爽やかな風だった
風のせいか、空耳か、
どこかでコロンと軽い鈴の音がした気がした