第2章 本丸
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私は審神者になってまだ日が浅い
審神者だった叔母が突然病に倒れ、
間もなく息を引き取った
当時は審神者という職が何かも深く知らず、興味も無く、そんな仕事があるのだとしか思っていなかった
私は生まれてから今まで
ごく普通の家庭で、ごく普通に育ってきた
将来に希望を持って大学へ進学したが、
結局大学で学んだ事とは全く違う方面へ就職し
実家を離れて一人暮らし
これから運命の人と出逢うのだろうか、いつか結婚して幸せな家庭を築く事が出来るのだろうか、よくあるそんな淡い希望と夢を抱いて、これまたごく普通の社会人として人生を歩んでいる
飛び抜けて仕事が出来る訳でもなく
何か能力に秀でている訳でもなく
特に華もないパッとしない毎日を繰り返して…
その最中、 突然の叔母の訃報
しかし今まで関わることも殆ど無く
記憶にも残っていない叔母の死は
私の心にはあまり響かなかった
その後、親族からの一報で私の人生が変わる───
「叔母の仕事を継いで欲しい。」
「…え?」
「お前には叔母と同じ力が宿っていてな…。これは、政府からの要請でもある。」
「っ、そんな…」
意味が分からない
こんなにも突然、前置きもなく、正体のよく分からない審神者となれ、と…。
力って、何なの? 政府からの要請?
いくらお偉いところからの要請でも、こんなに一方的に押し付けるなんて非常識なんじゃ…
これからも平凡に、恙無く生きていく予定なのに
私のこれからの人生どうなるの
頭に血が上り顔が熱くなる
ドクンと脈が跳ねてぐるぐると思考が巡るが
答え見つからず狼狽える
「───…分かりました。」
!?
自分の口から出た答えはそれだった