第1章 Story -出会い-
「な…んだよ…これ…っ!」
その光景を見た俺は何が起きたか理解出来ずにいた。
唯の家へと急いでいた俺。
角を曲がって見えた唯の住んでいるアパートは…
一階部分がほぼ瓦礫の山と化し、二階の一部も崩落していた。
まるでこの場所だけ戦争でもやったのかという光景だった。
「唯…?澪…?」
ふらっと建物へ歩みを進めた…が
「君!何してるんだ!危ないから下がっていなさい!」
規制線をはっていた警察官に押さえこまれた。
「っ!離せよっ!」
「もう時間が無いんだ!離れるぞ!」
警察官がそう言いながら俺を抱き抱えて走り出した。
「何で離れるんだよっ!俺はここに用事がっ」
バリバリバリッ…グシャッ…
物凄い轟音と共に…
俺が入ろうとしていた建物が崩れた。
それは本当に一瞬の出来事だった。
土煙が凄くて何も見えない中、俺を抱えた警察官が必死で走っているのが分かった。
俺は抱えられて揺れているのを感じながら何が起きたか分からずー…
そのまま微動だに出来ずにいた。
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「怪我はないか?」
少し離れた場所で警察官が俺を下ろしながら声をかけてきた。
俺は頷いてから一呼吸し、もう一度崩れた場所を見た。
俺の様子を見て、警察官が苦しそうな顔をして口を開いた。
「車が突っ込んだんだそうだ」