第1章 Story -出会い-
警察官が教えてくれた事を頭の中で整理しようとした。
事故を起こした車は大型の重機の車だった。
近くの通行人もはねられ、アパートに突っ込んで停止したそうだ。
一階部分が貫通するほど勢いがあり、支柱が支えられず二階部分も崩落したと。
アパートの住民の安否は不明。
運転手、通行人の容態も確認中だと。
目の前の惨状と状況の説明に絶望を感じざるを得なかった。
救急隊も消防も駆けつけ捜索をしている状況。
野次馬も集まってきてガヤガヤ騒いでいる。
うるさいのに俺だけ時が止まったように静かだった。
深呼吸して目を瞑ってみる。
唯と澪は家に居たのだろうか?
時間は16時だし買い物にでも出ていたかもしれない。
公園で遊ばせてたりするんじゃないか?
頭の中で都合のいい考えばかりが浮かんでは消えていった。
「ここでこうしてたって何もわかんねぇしな…」
その場を離れ自分で探しに行こうとした時
突然後ろから温かいものが俺を包んだ。
「えっ…あっ…嘘だろ…唯…っ!!」
泣きながら俺に抱きついた唯を見て視界がぼやけるのを感じた。