第7章 Stand By You-あなたのそばに-
「悟にはまだ黙っておいて欲しいと言われたんだ。撮影が終わるまでそっとしておきたいんだろう」
「五条の事だから、すんなり“分かりました”で終わるわけないもんなー…」
二人は気の毒な唯を思い、同時にため息をついた。
✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱
「じゃあ行ってきまーす!!」
周りが暗くなってきたのを見計らい、飛びながら高専へ向かった。
撮影は明日からだけど、昼間飛んだら目立つし、お兄ちゃんに遭遇するリスクを避けたいから夜に出発した。
それと夜に出発した理由はもう一つあった。
少し飛んでコンビニの近くの陰に降りた。
「唯!」
声のする方を向けば大好きな彼がいた。
「傑先輩っ!!わざわざお迎えありがとうございます!」
ニコニコしながら近付いてくる彼に
“今日も相変わらずカッコよすぎるっ///”
と心の中で叫んだ。
「わざわざじゃないよ。こんな暗い中一人でいたら何があるか分からないだろう?大事な彼女が心配だからね?それと、高専の中に入ると何もないから硝子が好きそうなつまみとか朝食を買っていったほうがいいと思ってね」
「何か照れますね(笑)あ、硝子先輩の好きそうなもの教えてくださいね」
そう言って二人で手を繋ぎながら色々な物を購入し、また人気のないところから夏油の術式で一緒に飛んだ。
幸せ過ぎて浮かれていて…
それをよく思わない人が身近に居ることなんて気付かなかった。
あの事件が起きるまでは……