第7章 Stand By You-あなたのそばに-
「え…」
唯の言葉に驚き言葉に詰まる。
当の本人は顔を俯かせながら唇をぎゅっと紡いでいた。
「…傑先輩が…私の知らない所で綺麗な人と任務とか行ってて…“お試し”だから他の人を好きになられても仕方なく…て…っぐす…ひっく…」
話しているうちに気持ちが止められず溢れ出る涙。
「っ…唯…!!すまない…泣かせるつもりはなかったんだ…」
焦りながら話す夏油。
夏油の言葉は聞こえているが涙が止まらず“ひっく…ひっく…”と泣いている唯。
「嘘に聞こえるかもしれないが…冥さんとの任務は今日が初めてなんだ。移動時の雑談で“気になる人がいるのか”と聞かれて…唯の事を話してしまったんだ。そうしたら変に興味をもってしまってね…嫌な予感がして急いで追い掛けたら案の定唯に声をかけてたんだ。…私の気になる人を直接見たいという好奇心だったのだろうがね(笑)」
そう言いながら泣いている唯の頬に触れた。
「しかし…こんな状況で言うのは不謹慎かもしれないが…唯が妬いてくれたのは嬉しいね…。今後どんな人と任務で二人っきりになっても、好きだと言ってくれる人が現れたとしても…私は唯がいいんだ。“お試し”なんてカッコよく言っておいてなんだが…正式に私と付き合って欲しい」
そう伝えれば泣きながら笑って“よろしくお願いします…!”と伝えて抱きついた。
生まれて初めて彼氏が出来た瞬間だった。