第7章 Stand By You-あなたのそばに-
「冥さん…悪いんですが私の大切な人に勝手に触れるのは遠慮していただけますか?」
その人は唯を抱き寄せながら冥冥に淡々と言った。
「~っ傑先輩っ!?/////」
「ふふっ、夏油くん。遅かったじゃないか」
「冥さんが後始末を私にさせたからでしょう…っと唯、連絡したんだが見ていなかったかい?」
冥冥と話していたかと思ったら急に目線を合わせて夏油が話しかけてきた。
「あ…電話置いたままだった…。でも傑先輩に会えるなんて…///」
「おや…どうやら私はお邪魔のようだね。夏油くん先に失礼するよ?それから小さな魔女さんもね」
「はい、お疲れ様でした。報告書は明日提出しておきます」
唯はぺこりと頭を下げて冥冥を見送った。
その頭上で“はぁ…”と大きなため息が聞こえ、抱きしめられている腕に力がこもった。
「唯…会いたかった…中々時間がとれずにすまない」
「傑先輩…私も会いたかったです…」
本当に会いたくて仕方がなかった想い人が目の前で抱き締めてくれているのに…
どうしてもモヤモヤが消えない。
表情に出ているのかいつもと違うその様子に夏油が気付いた。
「唯、具合でも悪いのかい?」
「ううん、悪くないです…」
「じゃあ…何か怒っているかな?」
「怒ってないです…」
「何かあるんだろう?私でよければ話してくれないか?役不足なら仕方がないんだが…」
傑先輩が悪いわけじゃない。
私の勝手なモヤモヤなのに…いつもみたいに優しい…
子供じみてるとは思ったが意を決して呟いた。
「あんな美人な人と二人っきりで任務に行ってたんですか…?」