第7章 Stand By You-あなたのそばに-
「はぁ…飛んでると気持ちいいなぁ…」
術式解放してるから何もしなくてもそのまま飛べるんだけど、魔法使いの気分を味わいたくて鍵に横乗りして飛んでいた。
魔女が宅急便してるアニメに習いたかったけど、跨いで飛んでバランスがとれずに急降下してからエレガント?な横乗りのみにしていた。
「お兄ちゃんに言ったら辞めさせられるよね…」
いつまでも読者モデルを続けられるとは思っていないけど辞める時は自分で決めたい。
心配性すぎる兄にため息をつけば真横から“ふふっ”と声が聞こえた。
“飛んでるのに声がした…!?”
慌てて横を見れば凄い美女が唯と同じように飛びながらニコニコしている。
「!?…あの…えっと…魔法使い…ですか?」
“どなたですか?呪術師の方ですか?”
そう聞きたかったのにビックリして魔法使いなのかと謎の質問をしてしまい顔が赤くなった。
「あぁ…急に驚かせてしまってすまないね。君が五条くんの妹さんかな?」
お兄ちゃんの名前が出た事に良い意味でも悪い意味でも警戒して空気が静まった。
「…そうですけど…貴方は…?」
「私は冥冥。高専の三年生だ。」
「高専の人…!!しかも三年生…って事はお兄ちゃんの先輩ですね!初めまして、五条唯です。」
「ふふっ、小さな魔女さんはどちらにお出掛けするのかな?あまり遅くなると心配されてしまうよ?」
冥冥と名乗った美人なお姉さんが髪を耳にかけながら私に言ってきた。
「どこにって事はなくて…散歩です…。黙って出てきたからバレてないと思うので大丈夫です(笑)えっと…冥冥さんは何をしてるんですか?」
「私は任務の帰りなんだ。相方が君の話をしていてね…興味があったんだ。まさか会えるとは思っていなかったから嬉しいよ…」
そう言いながら私の顔に手を伸ばして頬を触っている。
“相方?”なんて疑問に思いつつも、その顔をまじまじ見れば本当に美人で綺麗で…お兄ちゃんと並んだらお似合いだなぁなんて思っていたら…
突然身体がグイッと後ろに引っ張られた。