第7章 Stand By You-あなたのそばに-
「東京に一人で?悟には連絡しないの?」
帰ってきてからお母様に事情を話すが、心配そうな顔をして話が止まった。
「お兄ちゃん忙しそうだし…撮影の事バレたらまずいし…。電車じゃなくて飛んで行くから何かある事もないし!」
「“飛ぶ”のは構わないけど、降りる所とか探したり大変でしょう?それなら悟に話して迎えを頼んだ方がいいんじゃない?」
「お兄ちゃんが来てくれたら助かるけど…何をしに来たとか聞かれるし…お兄ちゃん相手に嘘が通用する気もしなくて…泣」
「でもそんな考えじゃお父様に話しても許可はおりないわよ?」
お母様にピシャリと言われ、“東京で撮影出来るかも✩.*˚“という期待が音を立てて崩れてきた。
「うん…ちょっと考える…部屋で休むね…」
諦めるか考えるか悩もうと部屋に来たものの頭の中の整理がつかない。
棚を見ればあの時の撮影が載っている雑誌があり、開けば会いたい想い人と笑顔の自分。
「…はあぁ…モヤモヤしてハゲちゃうよぉ……アンロック!!」
外で少し気分転換しようと鍵を解除し、跨って窓から飛び出した。