第7章 Stand By You-あなたのそばに-
あのドキドキして楽しかった日の余韻も束の間、いつも通りの日常が過ぎていった。
傑先輩とは毎日のようにメールしてるけど、忙しいみたいで全然会えていない…。
お兄ちゃんも忙しいみたいで、ずっと会えていない…。
あれ以来変わった事といえば、傑先輩の術式に触れてから試行錯誤して飛べるようになった事と、お兄ちゃんに隠したまま読者モデルを続けられるようになったことかな。
相変わらず低級の呪いを祓いながら術式の特訓をして、勉強をして、テストをして…
気がつけばあっという間に進級し中学生活も最後の年になっていた。
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「え?来月ですか?」
「うん!ゆるるちゃん来年から東京でしょ?こっちの小さいスナップじゃなくてあっちの企画に参加して欲しいんだ。」
いつもの様に撮影をしていると藤原さんから“来月東京で撮影したい”と話をされた。
「うーん…東京…」
「この間彼氏くんと撮ったのも好評だったしさ!本当はカップル企画でやりたいみたいよ?来月の企画は俺も入るし、今なら学校も休めるって言ってたでしょ?チャンスだよー!」
高校受験で遠方の学校に見学に行ったりするので申請を出せば休めるようになっていた。
唯は表面上受験も何もまだだけど来年から高専に入る事は決まっていて受験勉強もない。
「藤原さん…彼氏じゃないってばっ…!!///親に聞いてみて大丈夫なら行けるけど…傑先輩は今忙しいみたいだから一緒は無理だろうな…」
傑先輩を無理矢理撮影に付き合わせた事は申し訳ないと思いつつ、紙面でのツーショットを見るとまた撮りたいな…なんて邪な考えが浮かんでしまう。
とりあえず帰ったらお母様に相談してからだな…
そう考えて撮影を続けた。