第6章 Escapadeー突飛な行動ー
「…ふあぁ…疲れたぁ…」
あの後の会話なんて全然頭に入らなかったけど、傑先輩にお礼を言って別れ、お風呂に入ってからソファーにダイブしていた。
「唯、ちゃんと髪を乾かしなさいな。あんまりだらしなくしてると夏油さんに嫌われるわよ?」
「なっ…!?お母様ってば…急に傑先輩の話を出さないでよぉ…」
いきなり出てきた名前に戸惑いながらペットボトルを開けて喉を潤していた。
「んふふ。だって好きなんでしょ?」
「ぐふっ……ごほっ……は…鼻に水が入ったっ!!」
「あら、そんなに動揺しなくても(笑)手を繋いでたしお付き合いしてるの?」
「ししししてないっ!!まだしてないからねっ!」
「…まだ?」
「…あ…」
「本当に分かりやすいんだから(笑)夏油さん、紳士そうだしいいんじゃない?でも…悟が何て言うかしらね…」
「お兄ちゃん無駄に過保護だから…。。。お母様…あのね…」
「“悟には黙っていて欲しい”でしょ?あとは今日の事も伏せた方がいいかしらね?」
察しのいい母に感動し、隣に座ろうとした時唯の携帯が鳴り出した。
「…お兄ちゃんからだ…どうしよう……」
迂闊に話せばボロをだして傑先輩を危険な目にあわせてしまうかもしれない…
どうしようと通話ボタンを押せずにいると、人差し指を立てながら携帯をヒョイっと取り上げ、お母様は通話ボタンを押した。