第6章 Escapadeー突飛な行動ー
「……お母様……」
「唯お帰りなさい。悟から連絡があったから駅に迎えを頼んだのよ。だけど全然来ないっていうから心配してたのよ…。唯、そちらの方は…?」
「えっと…ごめんなさい…。電車じゃないので帰ってきたの…。それでこの人はお兄ちゃんの友達の夏油さん!家まで送ってもらったの!」
「そうだったのね。夏油さん、初めまして。唯の母です。遅くまで唯を面倒みていただきありがとうございます」
唯の母親が夏油に向かって深々と頭を下げた…
その時、二人が手を繋いでいるのを見つけ、目をぱちくりさせながらそれを凝視した。
母親の視線に気付いた唯が慌てて手を離そうとした…が、夏油によって阻止された。
「初めまして。私は夏油傑といいます。呪術高専の一年で悟さんとは仲良くさせていただいています。唯さんを送り届けるのが遅くなり申し訳ありませんでした」
「丁寧にありがとうございます。悟は難しいところもあるけど…これからも仲良くしてくださいね?」
ふふっと笑いながらお母様が話してる…
怒ってるんじゃないのかな…?
と…とりあえず…手を握ったままなのは…色々とまずいような…
唯の脳内で色々な事が思案されていたが、二人の間には和やか~な雰囲気が漂っていたのでこのままスルーする事にした。