第6章 Escapadeー突飛な行動ー
「傑先輩…これって凄いですよね(笑)見える人と出来る人が一緒にいなきゃ出来ないことしてるんですもん(笑)」
「ん?…あぁ、言われてみれば確かにそうだね(笑)私も誰かを乗せたのは初めてだよ(笑)でも…」
「でも??」
「唯が見える人だから好きになったわけじゃないよ。…術式が凄いと思って近付いたのは本当なのだが…。」
夏油の腕の力がぎゅっと強くなった。
「ふふっ…ありがとうございます(笑)全然大した術式じゃないけど…傑先輩と出会えた事に感謝です!」
「唯…」
ぐっと反転させてぎゅっと抱き締めた。
頬に手を添えれば自然と上を向き優しく口付けた。
「お試しの間…私の精神がもつかな(笑)そろそろ見えてきたね」
口付けの余韻に浸っていれば見えてくるのは夏油と初めて会った廃墟の近くだった。
「唯、そろそろ降りようか?家の前まで送るよ。場所を教えてもらってもいいかい?」
人気のない所に降り、自宅までの道のりを伝えながら手を繋いで歩いた。
「ここ曲がったらすぐなんで……えっ!?」
「どうしたんだい?」
曲がった家の前には見慣れた人物が立っていた。