第6章 Escapadeー突飛な行動ー
「悟に嘘をついてしまったね(笑)硝子が帰ってて二人きりだったって知ったらどうなるかな?」
悪戯っぽくクスクス笑う夏油の姿にまたドキドキしながら、お兄ちゃんの事を考えてため息をついた。
「お兄ちゃんの事だから…拗ねるか暴れるかして…周囲に迷惑をかけるのは間違いないですね…」
想像しただけで目眩がした。。。
だけどそれ以上に硝子先輩と傑先輩に迷惑がかかったらどうしようと血の気が引いていく感じがした。。。
「そんなに怯えなくても大丈夫だよ。悟が暴れても私が抑えるし(笑)唯は何も心配しなくていいんだよ」
そう言いながら笑う夏油の姿に“お兄ちゃんを抑えるなんて誰も無理だと思ってたけど、傑先輩は本当にできる気がする”と少し安心してつられて笑った。
「さてと…悟の許可も得たし、もう少しデートを楽しんじゃおうか?」
「はいっ!…って言いたいところなんですが…電車の時間がもう少しで…」
「じゃあ電車以外で帰るのはどうかな?」
「電車以外で帰るとなると…タクシーでしか帰れないし…時間もお金も凄くかかっちゃうかな…」
傑先輩ともっと一緒にいたい。
でも電車の時間は待ってくれない。
明日は学校だからお兄ちゃんの所に泊まるのは無理だし…。
「唯が怖くなければ、私と一緒に翔ぶのはどうだい?」