第6章 Escapadeー突飛な行動ー
お兄ちゃんの言う通りに生きてたらお嫁に行き遅れて貰い手がなくなるよ…想像しただけで気分が沈んだ。
「まぁお兄ちゃんみたいに整った容姿でもないし…好きになってくれる人が現れるのを気長に待ちます(笑)」
「“好きになってくれる人が現れるのを待つ”か…。もう身近にいるかもしれないよ?」
「…え?傑先輩、それってどういう意味…」
最後まで言う前に腕を引かれ夏油に抱き寄せられた。
「ふふっ…唯は小さいから私にすっぽりと収まってしまうね…」
え…えぇっと…あたし今…傑先輩に抱き締められてる…!?
突然の出来事に驚いてる…んだけど…凄く心地が良くて…思わず傑先輩の背中に手を回した。
「…唯さん?そんなギュッとされてしまうと私が止まらなくなってしまうよ(笑)」
傑先輩がそう言って笑いながら手を離しかけたから、あたしが回している手に力をこめて胸に顔を埋めた状態のまま言った。
「傑先輩になら…何をされてもいいです…」