第6章 Escapadeー突飛な行動ー
「あれ!?やだー、傑くん!久しぶりね!」
そう言うなり夏油の腕に抱きついた。
「~~~~~~っ!?(この人傑先輩の何なのー!?)」
声にならない悲鳴をあげながらうろたえれば後ろから藤原が走ってきた。
「あれ?知り合いなの?にしてもいきなり走るなよ…疲れた…」
息を切らして話す藤原をちらっと見ながらもその女性が気になりすぎて視線を夏油へと戻した。その視線に気付いた夏油が唯の方へ微笑む。
「彼女は木嶋さん。雑誌の編集者の方で何度か悟と撮ってもらった事があるんだよ。悟から雑誌とか見せられた事ない?」
「あ…編集者の方…なんだ…(笑)ってお兄ちゃんと傑先輩が?二人で?見た事ない!!」
編集者という事に安堵しつつ、お兄ちゃんってば人に散々言ってたくせに自分はちゃっかりと…とイラッとしてきていた。
「え、悟くんの妹さんなの??やだぁ可愛いっ!!もしかしてデート中だった?お邪魔しちゃったんじゃない?」
「お邪魔もお邪魔だろ(笑)でも原宿デートの様子を撮らせて欲しいなと思って声を掛けてたんだよ!すぐそこのスタジオで何コマかだけ撮らせてくれないかな?お礼はするよ!」
「いやいや…それはちょっと…」
「時間ならあるし唯が嫌でなければ私は構わないよ?」
断ろうとした瞬間に夏油からまさかの発言。
木嶋と藤原は大喜びでスタジオまで案内し、あれよあれよという間に着替えさせられメイクまでされ尽くしてしまった。