第6章 Escapadeー突飛な行動ー
その心配そうにしている顔を見て慌てて
「傑先輩と一緒で嫌なわけないじゃないですかっ!!う…嬉しいです…私はっ///」
そう告げると微笑む夏油の顔がカッコよすぎて眩しくて見ていられず慌てて目を逸らした。
少し赤めいた顔を誤魔化しながら、もう少し買い物しようとまたブラブラし始めた時だった。
「あれ?ひょっとして“ゆるるちゃん”?」
「えっ…あ!!お久しぶりですー!元気でしたか??」
(“ゆるる”ちゃん?唯の事をいっているのか?)
夏油は唯に話しかけてきた男に一瞬警戒したものの知り合いのようなのでそのまま隣で見守る事にした。
「東京に来れるようになったの!?」
「いや、今回はお兄ちゃんの学校に用事があって来ただけなんですよ…ここで会ったことはお兄ちゃんには秘密でお願いします(泣)」
「そっかそっかー、お兄さん怒っちゃうもんね(笑)ところで隣のイケメンは彼氏?」
唯と話していた男性が夏油の方へ視線を向けながら言った。
「か…彼氏なわけないじゃないですかっ!!この方はお兄ちゃんの同級生なんです!」
唯が焦って訂正した。
「おや、私は彼氏って紹介されたら嬉しかったんだけどね…(笑)初めまして、夏油といいます。」
さらりと言った言葉に唯は驚いたのか口をパクパクさせながら顔を真っ赤にしている。
「夏油くんか!私は藤原といいます。でもゆるるちゃん、こんなイケメンと原宿デートなんていいねー!二人でちょっとだけでいいから一緒に誌面に出てくれたりしない?」
「誌面?雑誌か何かなんですか?」
「あれ?夏油くんはゆるるちゃんの事知らない感じかな?…あ!ちょうど別の担当も来たからさ!ちょっと待ってね!おーい、こっちこっちー!」
藤原がその人を呼んでいるのを横目に見ながら唯を見ると複雑な表情をしていた。
「唯?藤原さんって人とはどういう関係なんだい?そして“ゆるる”ちゃんの正体も聞きたいなと思うんだけど?」
夏油の方を見ればいつも通りの笑顔に見えるが…話すまで逃がすつもりはないような圧を感じた。
これは話さないとダメなやつだと思って口を開こうとした途端、唯の声は別の声の主によってかき消された。