第6章 Escapadeー突飛な行動ー
ガヤガヤと人が溢れている。
通りの入口から既に派手な人がたくさんいる。
よくテレビで見て憧れていた光景が広がっている。
「はわぁ…本物だぁ…」
感動の余り立ち尽くしていると後ろから歩いてきた二人に笑われてしまった。
「唯ってばそんなに原宿に来たかったの?竹下通りにまだ入ってないのにそんなに感動されちゃうと連れてきた甲斐が有るわ(笑)」
「硝子の言う通りだね(笑)」
「だってみんなオシャレだし可愛い街だし本当に憧れてて来たかったんですよ!!本当に夢みたい…」
「夢じゃないんだからこんな入口でときめいてないで中進むよー!」
硝子先輩にグイグイ押されて竹下通りの中へと足を進めた。
可愛くてオシャレな物が沢山売っててしかも安いっ!!!
この通りに住めちゃうな…なんて思いながら気になる店を見つける度に立ち寄って買い物し、明治通りに抜けてから三人でクレープを食べていた。
「クレープも美味しいー♬︎♡甘くて濃厚っ!」
「流石というか…悟の妹だけあるね…(笑)」
「うん…五条と居る時みたいに胸焼けしてきたわ…」
生クリームたっぷりにアイスクリームとチョコソース、トッピングシュガー増し増しにしたクレープを食べるあたしを見て怪訝そうな顔をしている二人…何でだろ?
そう思いながら食べていると硝子先輩の携帯が突然鳴りだした。
「げっ…嫌な予感……」
電話の相手を見てからそう言い放ち電話をとると見る見るうちに顔が曇っていった。
「…はぁ…悪い二人共…高専から呼び出しきたわ…」
「よ、呼び出し!?」
「あぁ仕方ないよ。唯、硝子は反転術式が使えるからよく治療で駆り出されたり呼び出されたりしてるんだよ」
「あーあ、せっかく楽しく街ブラしてたのにさー。とりあえず夏油、唯のエスコート頼んだよ」
そう言ってから硝子先輩は私に近づき、
「唯、また一緒に買い物とか行こうね。入学前にまた遊びにおいでよ。もちろん五条は抜きでね!」
そう言って頭をぽんぽんとして高専へと向かってしまった。
「硝子先輩も忙しいんですね…もう少し一緒に居たかったなぁ…」
「怪我人が出たりすると硝子の術式は頼りになるからね。唯は私と二人では嫌かい?」
夏油が心配そうに唯の顔を覗き込んだ。