第4章 Middle Of Nowhereー何も無い場所ー
お兄ちゃんを置いてけぼりにしたまま高専から車で移動した。
10分位と割と近いビルに着いたけどー…
もうね、入る前から分かるよ。うじゃうじゃ感が凄いの。
ちょっと入るの躊躇うなーなんて思ってたら先生によって帳がおろされた。あ、逃げ道なくなったっぽい。
とりあえずあたしの術式見たいって話なので後ろの三人は見てるだけらしい。
いつもの様に鍵を出して風を纏って中へ入った。
少し進めば低級呪霊が何体かこちらへと向かってきた。
鍵を呪霊へ向け呟く。
「星月操術ー黒蝶ー」
すると向けていた鍵に近付いた呪霊からハラハラと蝶になって消えていく。
あたしの後ろでは先生と硝子さんが“おぉ!”と驚いた声をあげている。
そのまま更に上へと進めばさっきよりも強そうな呪霊が三体現れた。
それを見て空気が変わった。先生が慌てて前へ出て言った。
「これは2級相当の呪霊だな。下がってもらった方がいい。傑いけるか?」
「私でよければもちろんー…って唯ちゃん?」
臨戦態勢に入ろうとした夏油を唯が手で制止した。
「私に祓わせてもらっていいですか?きっと大丈夫なので」
そう言って前へ出れば二人の心配そうな視線だけ背中に感じた。
先程と同じように鍵を呪霊へ向け呟いた。
「星月操術ー花蝶風月」