第1章 Story -出会い-
「悟おにぃちゃーん!!」
とてとてと俺に向かって走ってくるちっちゃい奴。
「走ると転ぶぞー… 唯は相変わらずだなっ」
そう言いながらも向きを直して走ってきた唯を抱きとめる。
えへへとニコニコしながら反省の色ひとつ無い顔で唯が俺に抱きついてくる。
もうすっかりこれはいつものルーティーンになっていた。
「だって早くギューってしたかったんだもんっ!」
クリクリした瞳で言われると破壊力が凄いんだよな。
3歳児に何を言ってるんだって話だけど、世の中のシスコン者はきっとこんな感じなんだろう。
唯は妹のようで兄のように俺を頼ってくれる。
お兄ちゃんと呼ばれるのも少しくすぐったい感じがするけど悪くないんだよな。