第4章 Middle Of Nowhereー何も無い場所ー
ヤバい…油断しちゃった。
あたしもしかして殺される?
とりあえず攻撃態勢にならなきゃ…
そう思っていたらその男性が笑いだした。
「くくっ…暗くても何を考えているか分かってしまうよ(笑)大丈夫だから一度外に出ないかい?君と話がしたいんだ」
「…じゃあ先に出て下さい。そしたら私もすぐ出ますから…」
警戒したままそう告げるとその人は“下で待ってるね”と言って降りていった。
何者なのか分からないし外には仲間がいて攫われたりもあるかもしれない。
お兄ちゃんが昔から狙われていて気を付けていたようにあたしも身を守る術はある。
もう一度鍵を取り出し構えながら降りていった。
外に出るとその人はあたしの持っている鍵を見てまた笑った。
「凄く警戒されているね(笑)まぁ素性も分からないから仕方ないよね。私は夏油。呪術高専の先生から蝶の術式を伺って気になって見に来てしまったんだ」
その人は自己紹介をすると突然すまなかったと頭を下げた。
高専の先生からというお兄ちゃんの話と一致した事により警戒心が一気になくなった。
「あ…そうだったんですね!すみません警戒してしまって…。私は唯と言います」
「唯ちゃんか…素敵な名だね。いやいきなり来られたら君みたいな態度をとるのはむしろ普通だよ。気にしないでくれ」
“素敵な名だね”なんて言われた事初めてなんだけど…。
さっきは建物の中で暗くてあんまり見えなかったけど、全身黒の服を着て微笑む彼は…
とても魅力的で素敵だった…。