第4章 Middle Of Nowhereー何も無い場所ー
翌日その呪術師が九月に来る事を伝えると、
「悟よくツテがあったな!流石だな!」
「五条もやるときゃやるんだねー!普段はクズだけど」
「早くその術式を拝みたいものだよ。初めて悟を尊敬したよ」
などと各々言いたい事を言ってやがる。
何かフツフツとムカつき始めてきた。
すると夜蛾がどんな呪術師なのか聞いてきたからさ、悪戯心に火がついて全く真逆の事を伝える事にした。
“長身で目の細い男の呪術師”ってね。
見たらビックリするだろうなぁ…想像だけで笑える。
早く九月になんねーかなぁ♪
✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱
「…はぁ…やっぱり出来ない…」
お兄ちゃんに高専に行くとは伝えたものの完璧ではないあたしの術式を見てガッカリされないか不安で仕方ない。
毎日のように特訓してるけど平行線だし…。
「む…呪霊の気配がする…。一人で特訓してても上達しないし実践あるのみかな」
ちょっと外に出てくる事を伝え家を出た。
その場所まで急いでいくと雑居ビルの中から気配がしている。
もう日も落ちてるしいいやと鍵を取り出した。
「アンロック…風よ力を貸して…」
鍵で風の能力を解錠しそれを身に纏った。
そのまま階段を進むとソレが姿を現した。
「…ゾぉん…?でグ…?」
「うわっ、今回のも気持ち悪いな…。弱そうだし鍵汚すの嫌だからこっちにしよっと」
そう言って鍵を小さくし耳に片づけた。
本当は鍵を使って祓いたかったんだけど…。
今回は見た目が気持ち悪いから仕方ない!
自分自身に言い訳をしてから呪霊に向けて手をかざして意識を集中させた。
「星月操術…ー黒蝶ー」
告げた途端、呪霊の動きが止まりハラハラと蝶になって消えていく。全ての蝶が消えたのを見てから纏っていた風を解除した。
「ふぅ…これやったら意味ないんだけどな…帰ろ…」
そう呟いて帰ろうとしたら後ろからパチパチと手を叩く音が聞こえ慌てて振り向いた。
そこには今まで気配すらなかったのに髪を束ねた男性が座っていた。
「中々見事なものを使うね。話の通りだったよ」