第12章 私の過去
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《X777年…私が15歳の時》
私はこの日を忘れたことはない
そしてこれ以上に辛い過去はない。
何事もなく平和だった村に魔導士の集団が襲いに来た。
目的はわからない。でも村を守りたい一心で私は戦った。絆の魔法のおかげで人数不利なんて関係無いに等しかった。
私は大切な人を守りたかっただけなのに…
私の母親を狙って放たれた雷属性の魔法。母親を庇い私はその魔法を吸収しようとした。
それがダメだったのかもね…あまりにも強力な魔法だったせいで私の許容範囲を超え、その結果私は魔力暴走。理性を失い“鬼神の姿”となった。
今思えばあの時の鬼が言いたかった上位互換の姿とはこれのことだと思う。
理性を失った私は魔導士集団を皆殺しにした…あっという間だった。
それでも収まらない暴走。
でも理性は戻りつつあり、そのせいで心と体がバラバラに動くことに苦しむ私を母親…
お母さんが助けようとしてくれた。
それなのに…それなのに私は…自分の手でお母さんの命を奪った……
自分の母親を殺したことでやっと暴走が止まった私。
そんな私を見て村中の人が口を揃えて『バケモノだ』と言った。
仕方ないのはわかってる…わかってても当時はそれがすごく悲しかった。
自分だって好きでお母さんを殺したわけじゃないのに…皆んなを守ろうとしただけなのに…
そう思ったら悲しくて…自分で自分を制御出来なかったのが悔しくて…
泣きながら立ち尽くす私に子供が石を投げ始めた「バケモノめ!出ていけ!」ってそんな子供を咎めることなく大人達も「出ていけ!」って言い始めた。
お父さんまでも…
味方は居ない…そうわかったから私は言われるがままに
村を出ていった。