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【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】

第1章 闇を照らして 祝言



し「勿論。決まったら教えてください」

申し出に快諾したしのぶは、それではと診察室へ入っていった。その後ろ姿を見送っていた月奈は自身もこれから仕事が始まることを思い出し慌ててアオイの元へと向かうのだった。

(願い事、ねぇ...)

しばらくテキパキと仕事をこなした月奈は、休憩がてら道場へと足を運ぶ。手には水の入った瓢箪と手拭いを持っているが、それは自分の為ではなく道場にいると予想される人物の為の物だ。しばらくして現れた道場の扉を開くとそこにいた人物が振り向き月奈の名前を呼ぶ。

「雅雄様、しのぶさんから無理してはいけないと言われていたはずですよ」

雅「月奈さん。なんだか蟲柱様に似てきたんじゃないですか?それとも神崎様かな」

そう言いながら差し出された手拭いで汗を拭う雅雄。月奈が鬼殺隊を抜けてから会うことも無かった為、蝶屋敷で再会した時は本当に驚いた。

「そういう雅雄様はまた背が伸びたのでは?男性は成長が著しいですね」

最終選別の頃はさほど変わらなかった背丈が、今では見上げる程に伸びている。それとは対称的に長かった髪はバッサリと切られ、端正な顔立ちが露わになっている。噂では女性隊士から密かな人気を得ているとか...

(背が伸びて、男らしさが増したところで鬼殺隊士としての階級も上がって...それに細身に見えても鍛えられている)

これは人気を得るのも当然か、と一人考えながら雅雄を見ていた月奈は、雅雄と目が合うとハッとした。

「すみません、つい...」

雅「月奈さん。さすがに婚約者がいながら他の男をまじまじと見るのは如何なものかと」

「それは申し訳ありません...ですが、雅雄様が随分男らしくなっていて驚いてしまったのです」

ーいや、その発言も聞く人によっては誤解を与えるんじゃないかな。

雅雄は口から出そうになった言葉を瓢箪の水とともに飲み込む。
誤解を与える相手もしのぶや実弥といった辺りなら雅雄よりも月奈を窘めるのだろう。しかし...

ー炎柱だけは冗談が通じない。そもそもこの状況だけでもあの人は鋭い視線を飛ばすのだろう、あの時みたいに。

月奈が失踪してから一度、蝶屋敷で会った日を思い出す。宿近くまで送り届けた後、杏寿郎に釘を刺されたあの日。
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