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【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】

第1章 闇を照らして 祝言



以前、作ることに夢中で時間を忘れた時のこと。杏寿郎が早めに帰って来たことで夜更かししている事が知れたことがあった。幸い作っている物は咄嗟に隠すことが出来たが、眠れないのではないかと心配をかけてしまいそれ以来は任務から戻るまでに寝るようにしているのだ。

「怒られるより、心配されるとは思ってなかったけれど」

夜更かしで心配する、なんて普通に聞けば過保護なのではないかと一笑に付すだろう。しかし月奈が眠れなかった時期を知っている者からすれば、また夢見が悪いのではないかと心配になるようだ。

こればかりは月奈自身が大丈夫だと言っても、周囲はそう思えないようだった。目の下にクマが出来ればしのぶから心配され、夜更かしすれば杏寿郎や千寿郎から心配されるのだ。

夢見が悪いことは少なくなった。でもまだ、闇の中で眠ることは出来ない。杏寿郎が居なければ。

「っと。いけない、そろそろ寝ないと」

考え事をしていたからか、思ったより時間が経っていることに気付いた月奈は心配をかけないよう、文机を片付けると布団に潜り込んだ。勿論、明かりは薄く灯したままで。


し「月奈おはようございます、昨日はすみませんでした」

「おはようございます、しのぶさん!昨日は脱兎の如く素早かったですね」

いつも通り蝶屋敷に出勤すると、しのぶが声をかけてきた。どうやら昨日のことが気になっていたのはしのぶも同じだったようだ。

(そもそも事の発端ですし…)

しかし、いつもの笑顔とは違って少々困り顔のしのぶを見ると責めるに責められなくなる。でも、すぐに許しては駄目だと月奈はほんの少し嫌味を含ませる。するとしのぶは困り顔から苦笑し「本当にごめんなさい」と言うと月奈の顔を覗き込んだ。

し「お詫びと言ってはなんですが、何か一つ月奈の言う事を聞きましょう」

「え?」

そんな申し出が来るとは思っていなかったので月奈は思わず顔を上げると、「なんでもどうぞ」としのぶが笑っている。それ程間抜けな顔でもしていたのだろうか…そんなことを考えつつ月奈はう~んと唸った。

(そうは言われても特にない。どうしよう…)

「少し時間を頂いても?」

無い、と言ってしまうとお詫びの機会を無くすことになる。それならば残された手段は一つ。保留だ。
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