【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】
第1章 闇を照らして 祝言
煉「駄目な理由?」
雅「炎柱様より早く出会っていたならば、と考えた事はありました。でもそんな話ではなかったと今気付きました」
突っかかって申し訳ありませんでした、そう言って頭を下げた雅雄に虚をつかれたように目をぱちぱちと瞬かせた杏寿郎。少しの間が開き天元が雅雄の肩をがしりと掴んだ。
宇「思っていたより素直じゃねぇか!朝霧!もうちょっと突っかかってても地味に面白そうだったけどな」
面白がる天元に雅雄はじとりと視線を向ける。柱の一人にそんな視線を向けられるのは隊士の中でも数人だけだろう。
煉「さて、ではこれで話は終いか?...直に月奈が戻ってくるぞ」
そう言った矢先、廊下から近付いてくる足音が二つ。一つは月奈だが...
し「勝手に鍛錬場を使っている人間がいると聞いたのですが、まったく迷惑な人達ですねぇ」
月奈が伴って鍛錬場に入ってきたのは蝶屋敷の主、しのぶだった。あらあら、と笑顔だが気配は怒っているようだ。
「しのぶさん」
月奈は苦笑して声をかけると、しのぶは「仕方ありませんね」と溜息を吐いて三人に向き直った。
し「勝手に何やら決闘のような事をしていたと聞きましたが、今回は月奈のお願いなので三人とも不問としましょう。ただ、二度目はありませんよ?やるなら他所でやってくださいね」
(まさか、ここでしのぶさんへのお願いを使うことになるとは...)
そう、"お願い"とは以前あらぬ誤解を杏寿郎に吹き込み逃げた詫びだ。こんな所で使うのは勿体無いとも考えたが、ここを使う一因として自分が絡んでいる為三人をしのぶに差し出すことが出来なかった。
煉「胡蝶も察していた事だろう!そもそも発破をかけたのは胡蝶だと...」
宇「黙っとけ煉獄!悪かったな胡蝶。けど無事にカタはついたぜ」
雅「なんだ、皆さんで仕組んだことだったんですか?」
慌てて杏寿郎の口を塞いだ天元の発言に、雅雄はいち早く反応した。しまった、というような天元の表情に今度はしのぶが呆れている。
「皆で仕組んだ?」
呟かれた一言に、全員がハッと月奈に視線を向けた。月奈は首を傾げた状態で「何を?」と視線を返すが、誰も答えようとはしない。
宇「あー...つまりだな...」