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【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】

第1章 闇を照らして 祝言



いくら一般人であるとはいえ元鬼殺隊であることを考慮すれば、己の身を守る術は持っている。誰か隊士が駆け付けるまでの間を堪え抜くことくらいは出来るはず、そもそも蝶屋敷を襲撃されることがないように自分たちが日々鬼を狩っているのだ。

雅「手が届く距離のほうが歯痒いなんて可笑しな話ですね」

煉「俺は信じているぞ!皆が帰る場所を守りたいと言った月奈をな。置いていく側も辛いが、自ら残ることを選択する側も同様だろう。そこは宇髄の奥方も同様か?」

宇「そうだな、派手に変わりはないんじゃねぇか?まぁ、俺達は元より命懸けだからな、そんな葛藤を持つことも無かったぞ。でも、信じてるのは間違いねぇ、月奈も同じで女のほうが派手に強ぇよな!」

雅「強い?」

女は守るべき対象であり、強いという概念があまりない雅雄からすれば不思議な言葉だった。思わずオウム返しのように天元に問い返した。

煉「月奈も宇髄の奥方達も残ると決めて俺達を送り出す。いつ何があるか分からないのは人間誰でもそうだが、俺達鬼殺隊は一瞬前に話していた友が、いつのまにか鬼の手によって絶命していることも当たり前だ。それを分かっていて連絡も満足にないまま帰りを待ち続けるなんて強いと思わないか?俺達はこんなに動揺しているのにな?」

苦笑した杏寿郎の心境が少し伺えた気がする。他の男に嫁ぐならばそんな不安を感じることも無く幸せに過ごせるだろうに、月奈はこちら側に戻ってきた。それは杏寿郎にとってとても複雑な気持ちにさせるものだった。

事情を推しても自身の傍に居たいと思ってくれた気持ちが嬉しくないはずはない。だが…

ーいつ何が有るか分からない、鬼殺隊に従ずる俺も然りだ。有事の際に駆けつけることが出来ない男の元にいて本当に幸せなのだろうか。

皆が帰る場所を守りたいのです。

珍しく不安を見せた杏寿郎にそう言った月奈を思い出せば、女は本当に強いと感じる。

煉「守らねばならぬ存在でありながら、俺はその存在に守られている。必ず帰って来ると信じられたならば、その心に応えるのが当然だ!」

それに…と杏寿郎は少し不敵に笑う。その笑みは雅雄に向けられている。

煉「月奈は俺の婚約者だ。何人たりとも傷付けることは許さん」

雅「…っ!」

先程の自身を思い返し雅雄の頬に朱が走る。
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