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【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】

第1章 闇を照らして 祝言



一般人として戻った月奈の扱いが酷い、そう思う人間は沢山いるだろう。しかし鬼殺隊の全てはお館様の考えの元、これでも実は月奈自身が「恩を返したい」と言ってなければ成立しなかった交渉だった。

雅「鬼殺隊に戻すはずだった?お館様の指示で、ですか?」

宇「だったら派手に戻せばいいじゃねぇか、って思うよなぁ?なにせお館様の一声で片付く」

疑問だ、と言いたげな表情の雅雄に天元はニヤリと笑う。
戻りたいと月奈自身が選ぶならば止む無し、と一度は杏寿郎も考えたのだろう。
しん、と静まりかえる鍛錬場で雅雄と天元の視線は黙ったままの杏寿郎に向く。月奈は先程蝶屋敷の者に名を呼ばれここを出ていった。残っているのは三人だけ。

煉「俺もそう思ったが、月奈の先程の意思を確認した朝霧少年なら分かるだろう。鬼殺隊に戻す事の危険性、それも俺達が月奈を守ろうとすることにより起こる事について」

雅「危険性?鬼殺隊に戻れば俺達は傍で月奈を守ることが出来…」

ハッとした雅雄に杏寿郎は首を傾げて頭に浮かんだ答えを話せと促す。きっと間違ってはいない、月奈を守りたいという気持ちが同じならばこの矛盾に歯痒くなるはずだ。

雅「傍に置いても守れない、ましてや鬼殺隊である以上自分たち同様戦場へ派遣されます」

それでは意味が無い。ただ倒されていく仲間たちを捨て置くことすら辛い中で更には大切な人間までも捨て置いていかなければならないなど、余りにも自分たちには辛すぎる。
しかし残酷にも月奈は言うのだ「私ではない他者を守れ」と。

煉「目の前で倒れていく月奈が居たとして俺にはそれが堪えられん。しかしそれに気を取られては任務遂行に支障を来すだろう。そんな様では柱として名折れだ!」

宇「だからこそ、一般人として蝶屋敷に居られるようにお館様と交渉した。有事となればここの守り刀となることを条件に許可が下りた、って話だ」

雅「目の前に居なければ良い、と?それでは…」

と言いかけて雅雄は気付く。違う、そうしなければ双方の着地点が無かったのだ。傍に居れば守ろうと手を出してしまう、しかしそれは月奈は望んでいない。近くに居てもただ見ているだけならば、気を散らすだけのものとなる。言い方は悪いが任務遂行の邪魔にもなるだろう。
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