• テキストサイズ

【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】

第1章 闇を照らして 祝言



雅「ですが、月奈さんはあくまで稀血であり鬼の標的となり易いのは鬼殺隊士であろうと一般人となろうと変わりようのない事実。月奈さんに何かあった場合、先述の三人の少女も巻き込まれ…」

口をついた言葉の意味に雅雄自身がハッとして口を押えた瞬間、それまでふざけていたような天元の空気がガラリと変わった。真剣な表情の天元に雅雄はゴクリと唾を飲みこむ、いくら普段くだけた対応をしていても柱の一人なのだ。

―俺は不味い事を…よりにもよって月奈の前で…!

宇「お前は派手に幼いなぁ。…稀血のせいで蝶屋敷の人間も怪我するなんて言うつもり、あるはずねぇよな?」

肩を叩かれそっと囁かれた雅雄は、雅雄への忠告と月奈のための制止の両方を込めた手の重さに静かに頷く。視線を上げると月奈は杏寿郎に抱きすくめられ耳を塞がれていた、訳が分からない月奈は腕をパタパタさせている。

―良かった、聞こえていなかった…。

傷付けないように守ると言った口が真っ先に月奈を傷付ける言葉を吐き出すなんて、雅雄自身が驚き次いで怖くなった。この二人が居なかったらきっと月奈にこの言葉は届いてしまっていただろう。その後の展開なんて誰でも想像できる。

―傷付いた顔を隠して堪えるだろう。いっそ俺に向かって気持ちをぶつけるならばどれだけ良いか。

煉「朝霧少年」

落ち着いた声に名を呼ばれた雅雄はその声の主、杏寿郎に改めて視線を向けた。相変わらず月奈の耳を塞いだまま、杏寿郎は真っ直ぐな視線を雅雄に向けていた。燃えるような瞳に怒りの色は無く、ただ穏やかに揺れる火のように落ち着いた輝きを放っている。

煉「少しは落ち着いたか?君は冷静な様でいて頭に血が上りやすいようだな!蝶屋敷で働く事は確かに俺と胡蝶の案だ、しかし月奈が家でじっとしていられる人間とは君も思っていないだろう?そして君の言う通り月奈は鬼殺隊に戻ったわけでは無い一般人だ、それでも鬼殺隊で世話になった礼はしたいと言うので最善の策をとったまでだ」

宇「別に簡単に考えたわけじゃねぇよ。そもそもお館様から許可が下りたということはそういうことだろ。…俺達隊士がここを空にした時に何かあったら蝶屋敷の戦力はどうなるかなんてお館様が地味に考えてないはずがねぇ」
/ 44ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp