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【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】

第1章 闇を照らして 祝言



雅「確かに一時期は引退か、なんて噂がありましたからね」

はぁ、と息を吐いた雅雄はジロリと杏寿郎を見てから月奈に視線を戻す。表情はいつも通りの穏やかな顔に戻っていた。

雅「炎柱様は些か周囲に気遣い過ぎだと思う部分はありましたが、月奈さんも似た様なものですね。自身のことより他者の心配とは。たまには自身を優先して欲しいと言ってもいいと思いますが」

そう言われた月奈はゆっくりと首を横に振った。
その反応を予想していた、とばかりに雅雄は肩をすくめ呆れたように笑う。そう、分かっていたのだ、月奈はそんな事を考えてすらいない事を。

ーずっとそう生き続ける事は疲れる。本心を言える人間、家族が居れば月奈さんはもっとずっと違う生き方が出来たのかもしれない。それが俺であればと思っていたが。

「鬼から人々を守る力、その力は多くの命を救うためにあるのです。私だけに使うことなど許されませんし、私も望みません。それが柱のように救う命が多いであろう力を持つ方ならば尚更、私事を持ち込んではなりません」

雅「己を滅して鬼を...」

頷いた月奈は「雅雄様もその力をお持ちですよ」と微笑む。

ーそれはつまり、俺も月奈を優先することは許されないと言う事か。

「それと忘れないでくださいね。私も元鬼殺隊、身を守る術は持っています」

宇「ま、そういうことだ。俺の嫁達と変わんねぇよ、煉獄は納得いかねぇって顔してるけど派手に気にすんな!」

言い合いを終えたのだろうか、いつの間にか天元が隣に立っていた。月奈は少し離れている杏寿郎に視線を向けると、天元の言う通り不服そうな表情をして立っている。思わず月奈は苦笑してしまった。

「天元様の奥方様たちに比べれば何の力もありませんが。せめて杏寿郎様に心配をおかけしない位の力はつけた...」

煉「その必要はないと言っただろう!胡蝶が求めたのは鬼殺能力ではない。もう鬼殺隊ではない君が傷を作るようなことはあってはならん」

雅「鬼殺隊の医療の拠点である蝶屋敷で働くことを認めたのは煉獄家の皆様では?鬼が知ればここを叩こうとする奴もいるという可能性は...」

煉「そうなれば俺達隊士の任務だろう!一般人の月奈はここで働くあの幼い三人の少女と変わらん!」
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