【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】
第1章 闇を照らして 祝言
なんだか、もの凄く強いから守る必要がないと言われたようで月奈はさすがに悲しくなる。
宇「さすがにその言い方は派手に傷付くんじゃねぇか、なぁ月奈? 」
乙女心ってもんがあるだろうよ、と障子を勢い良く開いた天元が面白そうに笑った。呼びかけられた月奈は突然視界に雅雄と杏寿郎が入り呆気に取られている。
(なん...え?盗み聞きだけじゃなかったの!!?)
煉「よもや!盗み聞きとは行儀が悪いぞ宇髄!」
宇「いやいや、煉獄。お前地味~に気付いてただろうが!」
呆然とする雅雄と月奈をそのままに、杏寿郎と天元は軽い言い合いをしている。雅雄に視線を向けるとこちらを見ていた雅雄と目が合い月奈は気まずさから思わず目を逸らしてしまった。
雅「月奈さん。俺は君が傷付く前に守るよ、幼い頃の傷だって俺は何も思わない。今よりもっと強くなって誰にも傷付けさせないよ」
今、顔を上げれば雅雄の視線とぶつかる。そう分かるほどに雅雄の視線を感じる。月奈は意を決して視線を合わせると
息を呑んだ、雅雄の視線があまりにも真っ直ぐに向かっていたから。いつも笑って気遣ってくれる雅雄。それが今は真剣な表情で月奈を見つめている。
(杏寿郎様と出会って居なかったら惹かれていたかもしれない、優しく強い人)
「きっと雅雄様は今より強く逞しくなられるでしょう。でも私は強く守ってくれるから、傷を受け入れてくれるから、そうやって人を好きになるわけではありません。私は守って欲しいと願うことより、守りたいから鬼殺隊に入ったのです。...何も守る事が出来ずに鬼殺隊を抜けることになってしまいましたが」
そう言って苦笑した月奈に雅雄は少し悲しそうな表情を見せる。それは憐れみなのか、弟が鬼となったことを知っているからなのかは分からない。
雅「...何故、炎柱様なのですか」
「人の命を等しく大切にし、私だからと優先しない。鬼殺隊の柱であることに常に重きを置き、隊士達をも守ろうとしている。なにより...鬼殺隊に居たかったという私の我儘な心残りすら受け入れて分かちあってくれるから、でしょうか」
宇「月奈が居なくなって暫く、腑抜けになった煉獄を見てたら帰ってきてねぇかもな!」
煉「宇随!」