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【鬼滅の刃】after story【闇を照らして】

第1章 闇を照らして 祝言



杏寿郎と月奈が喧嘩をしている。

そんな噂が立ったのは、あの夜から数日経ってからのことだった。相変わらず任務に勤しむ杏寿郎と蝶屋敷で働く月奈の耳に入ってはいないようだったが、入院患者とは暇なもので患者同士が話す噂がしのぶの耳に入るのは早かった。

し「困りましたね。今更噂の出処を押さえたところで意味は無いでしょうし、このままではここで働く月奈の耳にも当然入るでしょう」

そう言うと診察室にいる人物に向き直った。人の口に戸は立てられないとはよく言ったもので、たとえ箝口令のようなものを強いたとしても広がってしまった噂は留まるところをを知らないだろう。

天「そりゃ仕方ねぇだろうな。あいつらも祝言がもうじきだって言うのにどうしてそうなるかねぇ」

腕を組み呆れ返った天元は、事の発端をしのぶから説明され溜息を吐いた。面倒事を自ら起こすのは杏寿郎かはたまた月奈か、いやもしかすると2人ともかもしれない。そんな事を考えていると、しのぶが話を戻す。

し「それで、煉獄さんから折り入って頼み事があると先日こちらに来られました。...えぇ、勿論雅雄君のことです」

視線を向けられたしのぶはコクリと頷くと、天元が言わんとしていた人物の名を告げる。

天「しかしなぁ...俺は派手に反対だ。いくら月奈に分からせる為とは言え地味に傷付くだろ」

し「それでも煉獄さんは決断されました。私も荒療治だと注意してはみましたが...」

首を力なく横に振ったしのぶを見る限り、杏寿郎は既に腹を括ったのだろう。もしかすると月奈よりも杏寿郎の方が強く傷付くかもしれないというのに...。

天「そこまで決めたならアイツの意志は変わらねぇだろうよ」

不器用なもんだよアイツも、と呟いて天元は椅子から立ち上がるとヒラヒラと手を振り診察室を後にした。

し「他人との違いを比べたとて、月奈の気持ち以外に指針は無いというのに。本当に困ったものですね」

月奈を大事にするあまり、とんでもない方向へと考えを向けてしまった杏寿郎にしのぶは呆れ又心配してしまう。

ー何事も無く、この件が片付くと良いのですが...。
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