第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
***sideリュウ
「米花町七丁目はそれで最後だ。次は時間指定の二丁目に戻るぞ。その後に一丁目の死体の家に戻るとするか」
新たな荷物を取り出し、すぐに扉が締められる
大尉がここを出てからだいぶ経つが、なかなか助けは現れなかった
「助けに来ねぇじゃんか!」
「暗号難しすぎたのかなぁ?」
「もしくは途中で首輪から紙が外れてしまったか…」
歩美ちゃんや元太、コナンが扉の方を見つめながら不安を零した
いや、あのくらいの暗号なら零は絶対わかるはず
ただその紙がちゃんと届いたかどうかがわからず、待つという時間に気持ちが先に滅入ってしまいそうなのは全員同じだ
「それよりどうするの?配達する荷物が減って隠れる場所がなくなってきてるわよ」
哀ちゃんの言う通り、荷台の中は荷物が捌かれていき身を隠す場所がそろそろ限界になってきた
それに、一丁目に戻るって言ってたし…死体を降ろされてしまったら、あいつらの思惑通りに事が運んでしまう
「光彦君、大丈夫?さっきから黙ってるけど…」
そういえば光彦の声を聞かない
「えぇ、なんとか寒さは乗りきれたみたいです…震えが止まりましたし…」
え…?
「震えが止まったって言った!?」
「おい!そいつは逆にやべぇ!」
コナンと一緒に駆け寄ると、さっきの言葉を最後にフラッと光彦が倒れた
「光彦!光彦っ!?」
肩を叩き意識を確認するも返事はない
胸は上下しているから息はしている…脈もある…
「低体温症による意識障害か…」
「指先も紫に変色して凍傷になりかけてる」
コナンが持ち上げた光彦の右手の指先は暗闇でもパッと見ただけですぐにわかる程変色していた
哀ちゃんに上着を貸して薄着になってた分、身体の冷えが早かったか…
「早くあっためた方がいいんじゃねぇか!?」
「光彦君死んじゃうのー!?」
「お前ら落ち着けっ!」
とにかく応急処置をしないと、本当に手遅れになってしまう
「冷風が出てる所から極力離れて体温の保温を。温かいものはないけど、人肌でも十分保温できるから!」
「私が温めるわ」
責任を感じているのだろうか、哀ちゃんが率先して言ってくれた
そしてオレとコナンで光彦を冷風が直接当たらない場所へ移動させる
といっても荷物の位置をズラせないから限られているが、少しでも寒い環境から遠ざかれるのであればそうしたい