第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
「えぇ、確か…『Cor』と『P』と『se』って文字の間が消えてて、印刷ミスかなぁと…」
Corpse……死体…
「この猫が毎日ここに餌をねだりに来るのを知っているのは…」
「割りと最近来るようになったから、私とマスターと安室さんと、あとはコナン君くらいですけど…」
コナン君……今は叶音といるはず…
「それと、そのレシートを取る時に首輪に触ったんですけどかなり冷たかったような…」
冷たかった?
この季節に冷房の効いた場所は殆どないはずだし、考えられるとしたら冷蔵車やお店の大型冷蔵庫…
そして死体といったら、なんとなく嫌な状況が脳裏を過った
ハッとしてポケットに入っているスマホを見ると、叶音からの着信とメッセージが届いていた
先にメッセージを見ると、「へるぷ~!」と書かれたスタンプが1つ
あのレシートがコナン君からの物だとしたら、叶音と一緒に何か事件に巻き込まれている!?
「マスターには急に体調を崩して早引きしたと言っておいてください!」
今日のバイト代もいらないと伝え、レシートが飛んで行った方向へ走り出す
風力、風向、立地条件を考慮に入れてシュミレーションすれば、風の流れが読めて飛ばされた先が絞れるはず
叶音に電話をするも電源が落ちているのか電波が届かないのかで繋がらない
GPSで確認ができないということは、電源が落ちているのであろう…
冷蔵設備の中にいて、電圧が低下し電源が落ちたということか?
だとしたら、急がないと…
「……あった!」
予想通り、やはりこの辺りだったか…
文字の消されたレシートを見ると、Corpseの下の数字が疎らに消されている
これはたぶん車のナンバー…特殊な用途で用いる車は8ナンバーだが、これは8ナンバーではない…って事は宅配業者のクール便のはず
そこまでわかればあとは宅配車を捜すだけだ
大尉がレシートを持ってきたということは米花町内を走る宅配便だろうから、この辺りをまわる業者のルートさえ抑えればたどり着く
確かこの辺でよく見かけるのは…
「もしもし、チーター宅配便米花町店ですか?実は…」
嘘も方便、自分の車が停めてある駐車場に向かいながらクール便の場所を聞き出し、すぐに車に乗って米花町二丁目を目指した