第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
「まぁ、人ひとり殺しちまったんだから動揺してんのはわかるが…」
「悪かったな、俺のせいでこんな事になっちまって…」
殺人犯の2人の会話を聞くと、どうやら成り行き殺人だったようだ
2人組の片方が荷物を届けに行った先が浮気していた女性の旦那の家で、気付いた旦那が掴みかかったそうだ
その手をはねのけようとして突き飛ばしたら頭部をぶつけて動かなくなってしまったと…
「警察に連絡する前に俺を呼んで正解だったよ…こいつが持ってた財布の金、たんまり頂けたしな」
いやいや先に警察だろ
捜査の手を煩わせやがって…
このままだと過失致死罪以外にも窃盗罪や死体損壊罪とか、次々と罪が重なっていく
バレなきゃ良いという問題ではないし、必ずどこかでバレてしまうものである
「死体を元のこいつの家に戻して放置、再び訪ねてたった今発見したように通報すりゃ万事OKだ!」
この業者のアリバイを証明する人はたくさんいる
オレ達が知ったこの真実を大人に伝える為にも、早くここから出ないと…
バタンとまた扉が閉められ暗くなる
コナンが温めていた電池パックを携帯に戻し、高木刑事へと連絡を取るが…
「ダメだ…つながらねぇ…」
刑事も刑事ですぐに出られる仕事じゃないからな…
そして次にかけたのが阿笠博士
「博士か?俺だけど今から言う話しをメモ…」
なんとか繋がったようだ
「おーい!充電ねぇんだ今すぐ……っくそ…電池切れだ」
「オレのスマホで阿笠博士に掛け直してもいいけど、知らない番号からで出てもらえなかったら電池もったいないし……かけるなら透兄ちゃんしかいないけど、今日はポアロだからすぐに出るかどうか…」
しかもバーボンとわかった今、零への連絡をするかどうかという悩みも生まれてしまう
一か八か風見って手もあるけど、不審がられるだろうな…
「リュウ、安室さんに連絡しよう」
「え、いいの?」
「もう手段は限られてるだろーが」
接触しちゃいけないわけではないもんな
なんならテニスに行ったとかでもうミステリートレイン後に会ってるみたいだし…
「出るかどうかわからないけど…」
電池の消耗を控える為にエコモードにした画面は暗く、残り電池残量も3%と怪しげである
冷えないように袖で覆いながら耳に当てるが、コール音が続くだけで零が出る気配はなかった
「ダメか?」
「うん、繋がらない…」